リンシードオイルを使う
リンシードオイル 別称:亜麻仁油(あまにゆ)、英語表記:Linseed Oil
- 亜麻の種子から搾出
- 乾燥が速く、丈夫な皮膜を作る
- 黄変する傾向がある
乾性油の種類と特性でお話したように、市販されているペインティングオイルとは、メーカー側で予め調合して販売しているドレッシングのようなものです。
溶き油は、画面の進み具合に応じて調節していく
本来、油壺の中身(溶き油)とは、画面の進み具合に応じて、乾性油・樹脂・精油・乾燥剤などを組み合わせ、変化させていくものです。(ペインティングオイル一本だけで制作の最初から最後までを、まかなおうとするようなものではありません)
また、自分の画風(重厚/軽やか、厚塗り/薄塗り、艶のある/なし、など…)に合わせて、画溶液を工夫していくことも、とても大切なことです。
実践の中でしか掴めないことです
しかし、この乾性油等の組み合わせは、研究と実践の中でしか理解できないものです。(何枚も作品を描いていく中で、少しずつ掴めてくるもの)
なかなかハードルの高い部分でかもしれません。
そこで、初心の方への導入用として、各社からペインティングオイルが販売されているわけです。
油彩制作の流れが掴めてきたら、ペインティングオイルは卒業しましょう
何枚かの作品を描いて、自分の望む方向(画風の入り口)が見えてきたら…
また、
油彩制作の全体的な流れが把握できてきたら…
ペインティングオイルから卒業して次のステップに進みましょう
リンシードオイル、具体的な導入の方法
初期画材からの切り替え
小野路デッサンと絵の教室の入会時にはまず、次のものを購入しています。
- ペインティングオイル
- テレピン
- シッカチーフ(乾燥剤)
この三種を、油彩制作の進行に合わせて、割合を変えながら使用し、調合していくことをおぼえます。
1~2年ほど経って、全体の流れが自然に身についてきたところで、ペインティングオイルを卒業します。
そして、以下の溶液に切り替えていきます。
- リンシードオイル(乾性油)
- テレピン
- シッカチーフ(乾燥剤)
- パンドル(ダンマー樹脂)
リンシードオイルの具体的な使い方・割合
多少大雑把ですが、リンシードオイルはペインティングオイルの主成分(教室お奨めの画材を使っている場合)。
ですから、名称こそ初めてですが、今までにも既に使ってきているわけです。
具体的には、今までのペインティングオイルの比率に、リンシードオイルをそのまま置き換えて使っていってもらえば大丈夫です。
多少の微調整は必要ですが、使いやすい粘度になるように割って、まずは、使ってみましょう。
ダンマー樹脂について
樹脂とは
新しく出てきたダンマー樹脂(パンドル樹脂溶液)ですが、これは、松脂など、樹から採れる透明感の高い樹液(樹脂)を、テレピン/ペトロール等で溶き薄めたものです。
時間がたち、テレピンが揮発すると、樹脂成分だけが残り、透明感を保ったまま硬く固まります。
高い透明過度と硬さを兼ね備えているため、大切なものを保護する用途で昔から使われてきました。
バイオリンや高級家具などの表面に引かれる「ニス」が、これです。
この樹脂を溶き油に混ぜ/油絵具に混ぜていくことで、油絵に艶と光沢を与えようとするものです。
これはまたとても奥深いものなので、ここではその使用割合についてのみ、お話しすることにします。
ダンマー(パンドル樹脂溶液)の具体的な使い方・割合
樹脂を、描き始める当初から、少しずつ溶き油に混入していく、という方法も良いのですが、少々コントロールが難しいため。
先ずは、樹脂は中盤以降に混入(使用)していくという方法でスタートしてみましょう。
- 粗描きから、中盤の肉付けが6~7割完了した頃。この頃を目安にして油壺にダンマーを混入していきます
- 割合は、溶き油の全量に対して10%~20%くらい
樹脂使用に関するメモ
この割合でもかなりの透明感が出てしまうので、下層を覆い隠すような塗りは難しくなります。
「油」だけでは得ることの出来ない「艶」と「輝き」「光沢」は、この樹脂の使用によって獲得できます。
積極的に使い、慣れていきましょう。