Vincent van Gogh,星降る夜
引用図版:Vincent van Gogh 1888 「星降る夜」
油彩 キャンバス 73cm X 92cm

インパスト

impasto

impasto インパスト 概要

語源

インパストは伊語の、impastare(インパスターレ)

  • 「捏ねる」
  • 「混ぜる」
  • 「練る」

などの意味から来ています

仏語の「アンパトマン」も同じ技法を指します。

どのような技法?

筆やペインティングナイフによっておこなう、とても厚い塗りのことを指します。

油絵具に蜜蝋などの体質が加えられるようになり、油絵の具が固練りになってから登場した技法です。

歴史

いつ頃から使われるようになりましたか?

画家が自分で絵具を製作していた(手練り)時代の絵具は、今とは違ってもっと流動性が高く、軟らかい練りのものでした。

16世紀の初頭から、油絵の具は徐々に粘り気をもち始めますが、現在と同じような固さを持った絵の具が使われるようになるのは17世紀の中頃からです。

そして18世紀の後半に、絵の具メーカーが、現在のような固練りの油絵の具を、製品の規格としました。

今日では、ダイナミックな盛り上げや厚い塗り、などは、油彩の代表的な技法のように思われていますが、実際のところそれは、油絵具の性質というよりも、むしろメーカーが販売の為に規格化した、固練り絵具の特質と言うべきです。

特徴

インパストの特徴

ともあれインパストは、平面である画面上に、立体的な造形を生み出します。

インパストをおこなった部分は、その具体的な厚みが、立体感を感じさせ、また、絵具の素材感・物質感も強く感じられるようになると言えます。

筆痕や、ペインティングナイフのコテ痕を、シャープな状態で残します。(それらの立体的な造形を維持したまま、乾燥させようとします)

平面上に於ける立体造形、としての要素を多分に有しています。

インパストの見分け方

インパストの見分け方は簡単です。画面を正面ではなく横から見てみましょう。
インパストされた部分は、立体的に画面から飛び出しています。

また、もっと厚いインパストの場合は、画面正面からでも見分かることが出来ます。
インパストされた部分が画面上に「影」を落とすからです。

lucian freud woman-with-eyes-closed
引用図版:lucian freud 「woman-with-eyes-closed-」
油彩 21cm x 30 cm

作家の紹介

インパストを使いこなしている作家

インパストは非常に多くの作品にみられる技法ですが、大変上手く使いこなしている例として、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホとルシアン・フロイドの二人の作品を、参考作品としてご紹介します。 (ゴッホの作品はページ上部にあります)