F・P・M
キャンバスには、
F・M・P という3種類の異なった比率の規格があります。
たとえば、同じ「6号」のキャンバスでも、タテ×ヨコの比率によって、
の3種類があります。
規格による大きさの違い
では、そのF・P・Mの大きさの違いを見てみましょう。
左の写真では、
号数はみな同じ6号ですが、
F・P・M3種類のキャンバスが重ねてあります。
下から上へ、F6号_P6号_M6号の順です。
それぞれの木枠に、F6、P6、M6の文字が記されているのを読むことができると思います。
この写真のように、
同じ号数のキャンバスでは、規格が異なっても、長辺の長さは共通しています。
このことは、6号以外のどんな号数の場合でも同様です
面積と比率の違い
次に、面積の違いと、比率の違いとを見てみましょう。
左の写真では、先ほどの3種類のキャンバスを、今度は横並びにしてあります。
左から右へ、F6_P6_M6の順です。
面積はFが一番大きく、次いでP、
Mは一番細長くて、面積も小さくなっていることがわかります
各規格の、タテ×ヨコの比率は
- Fが大体、1:1.2
- Pが大体、1:1.4
- Mが大体、1:1.6
大体これくらい、と覚えておいてもらえば大丈夫です。
なぜ、「大体」でいいのかといえば、それには二つ理由があります。
キャンバスの比率に関する二つの理由
一つ目の理由
一つ目の理由は、本来F、P、Mの規格は黄金比(≒1:1.6)や白銀比(≒1:1.4)と呼ばれる比率から考案されていますが、
だからといって、あまりその言葉を意識してキャンバスを使う必要がないからです。
- Mは黄金比そのままの規格
- FはMを半分に切った規格(Fを二枚並べるとPの比率に近似する)
- Pは白銀比そのままの規格
(黄金比や白銀比などについては、また別の機会にご紹介します)
美しい比率を「美しい」と感じることができるように、感性を磨くことは大切ですが、それは実践を通して体感していくもので、
知識として黄金!、白銀!、…と覚えても、使いこなせるようになるわけではありません。
「知っていても損はない」、くらいに思っておいていただけると、ちょうどいいと思います。
二つ目の理由
二つ目の理由は、製造面と商業面の理由から、実際の木枠(キャンバス)は黄金比、白銀比などの比率になっていないからです。
本来、F・M・Pは、比率をあらわす規格なので、
例えば、F3号とF10号とF100号では、大きさこそ違ってもタテ×ヨコの比率はどれも
≒1:1.2
であってほしい、と思うところですが…、実際にはそうではありません。
実際のばらつき
実際に販売されている木枠・キャンバスの比率は、同じFや、同じMでも、その比率はまちまちです。
しかもそのばらつきに、かなりの幅があります。
例として、P規格を見てみると、
- P4号は 1:1.51
- P10号は 1:1.29
- P12号は 1:1.33
となっています。こういったばらつきは、他のどの号数にもあります。
Fは四角っぽい…
こういった理由からキャンバスの比率を数値から考えてもあまり意味がありません。
「Fはかなり四角っぽい、Pはちょっとおしゃれな比率、Mは結構細長いな」、くらいでどうでしょうか?
F、P、M、名前の由来
仏語の頭文字
F、P、Mはそれぞれ以下の仏語の頭文字からきています。
- F (Figure/人物)
- P (Paysage/風景)
- M (Marine/海景)
もちろんFはFigureだから人物を描かなくてはいけない、とか、風景を描くならPを使わなくちゃ、
などといったことは一切ありません。
ただの愛称です。
さらに、もう一つの規格
このページでは詳しくご紹介しませんでしたが、これらの他に「S」という規格があります。
Sは (Square/正方型)の略で、その名のとおり長辺×長辺の正方形です。
比率は1:1になります。