アラ・プリマ 言葉の意味
at once
アラ・プリマ(プリマ描き)は伊語で
- 「一回で」
- 「一度で」
といった意味を持つ言葉です。
ここから、「一回で仕上げる」、「勢いに乗って一気に制作する」といったニュアンスで用いられるようになりました。
直接的な描法
アラ・プリマ(プリマ描き)は伊語で
といった意味を持つ言葉です。
ここから、「一回で仕上げる」、「勢いに乗って一気に制作する」といったニュアンスで用いられるようになりました。
アラ・プリマ技法の特徴を、具体的に箇条書きしてみると。
油彩画に限ったことではありませんが、伝統的な技法と呼ばれるものは、みな共通して、使用する画材の特性・特質を、研究し熟知して、そして「使いこなしていこう」というスタンスに立っています。
油彩画で言えば、その透明性、艶、ボリューム、顔料の性質、等々を、最大に活かした使い方をするにはどうすればいいのかと考え、そして研究と実践を積み重ねてたものが、油彩の伝統技法であり、貴重な知識の集成です。
(具体的には、基底材と下地の準備、素描、油気の少ない下層、中層、油気の多い上層、樹脂の配合…と
いう具合に進めていきます)
油彩の特徴を活かすには、時間軸に沿った計画的な制作が必要で、これが、油彩材料を活かして使う為の一つの結論です。
伝統的な油彩の技法は、とても計画的で、職人的な技術と知識も必要とされます。またそれゆえに、ややもすると、堅苦しく型に嵌った作品となってしまう危険性も孕んでいます。
本来のアラ・プリマ(プリマ描き)とは、
伝統的な油彩画の技法を習得し、材料にも熟知した上で、更にそこに
を、作品に融合し、加えていきたい、という作家の意思と要求から生まれました。
それゆえに、アラ・プリマの筆はとてもスピーディーです。「一気に、一息に」といったニュアンスも、ここから来ます。
また、アラ・プリマの名手と呼ばれる作家は、そのほとんどが達筆です。
本来のアラ・プリマは伝統的な技法と対立する位置にあるのではなく、補完し合う要素であるといえます。
アラ・プリマはこのような自然な要求から発生しましたが、行き過ぎれば、やはり同様に、得たものより失うものの方が多くなります。
得られたもの: 即興性の面白さ、動的な筆致、筆勢、インスピレーション(感じられることが多い)、即時性、…
失われるもの: 計画性、理知的な画面作り(構図・構成、配色計画)、冷静さによる面白味、材料と技法の知識、…
アラ・プリマによる良作をのこした作家に、
Frans Hals(フランス・ハルス)がいます。
ここに参考として挙げた作品は、油彩の技法を熟知し、それを基盤とした上で、速度のあるアラ・プリマの描法で制作しています。
即興的で直接的に見える、ハルスの生き生きとしたした筆づかいの下には、精度の高い計画性と、身につけた深い技法・技術の存在を感じ取ることができます